行政書士試験合格のための戦略
うっかり勉強を始める前に、合格のための戦略を十分に練ることが大切です。
戦略なしに無闇矢鱈と勉強を始めても、むしろ合格からは遠ざかってしまいます。
行政書士試験の場合、300点満点で、合格は180点以上です。
180点取ればいいのです。
180点取ればいいのであって、だから「240点取ろう!」なんて思う必要はどこにもありません。
そして、なにより大事なのは、
「どの科目で何点取って合計180点にするのか?」
このイメージをしっかり持つことです。
そのためには消去法で考えるのが良いと思います。
つまり、点を取ることが難しい科目は捨てる。
その上で、取れる科目でしっかり点を取る、これがベストです。
行政書士試験の科目
では、行政書士試験の科目をもう一度確認しましょう。
択一式(240点満点)について
択一式は五肢択一で、配点は1問4点、54問で合計216点です。
多肢択一は20個の語句のなかから、文章中の4つの空欄に選んで入れる問題で、配点は1問8点(ひとつの空欄につき2点と思われます)、3問で合計24点です。
科目 | 問題数 | 配点 |
憲法・基礎法学 | ||
基礎法学 | 2問 | 8点 |
憲法 | 5問 | 20点 |
憲法多肢択一 | 1問 | 8点 |
行政法系 | ||
行政法 | 14問 | 56点 |
地方自治法 | 5問 | 20点 |
行政法多肢択一 | 2問 | 16点 |
民事法系 | ||
民法 | 9問 | 36点 |
会社法、商法 | 5問 | 20点 |
一般教養科目 | ||
一般知識 | 14問 | 56点 |
記述式(60点満点)について
記述式は50字程度を書かせる問題で、出題数は例年3問、それぞれの配点は20点です。
例年、民法2問(40点)、行政法1問(20点)、という振り合いです。
捨てる科目はどれ?
まず、とりあえず記述式のことは後回しにしておきます。
ここで点を取るより、択一で点を取るほうがはるかに簡単だから、というのもあります。
また、記述式は、なかなか点をもらえません。点の予想もつけづらいです。実際、受験後の予備校採点と実際の採点との食い違いはかなり大きいです(平成20年のときは予備校は点を高く予想し、21年の時は逆に予備校が低く予想しすぎていて、受験生からは「全く当てにならない」と言われていました。プロの予想師である受験予備校でさえさっぱり当たりゃしないのが記述式採点です)。
もっとも、最終的にいろいろ計算してみると、帳尻合わせに10点くらいは欲しいところなのですが……。ただ、ここは最後の上乗せ、として考えるのがベターです。
やはり「行政書士試験は択一で180点を取るのが正義」です。
そこで択一の240点のうち、180点を取るのが目標になります。
択一のうち、点を取ることがきわめて困難なのは、商法系の科目(会社法・商法)です。
商法は、法改正が非常に多い法律で、平成以降に限定しても、小改正はほぼ毎年、いわゆる大改正も3度ほど行われています。
この大改正のうち、平成17年の大改正がほとんど全面的改正といってよく、条文だけでも倍以上、内容的には3倍以上のボリュームアップです。このため、平成17年以降の商法は、内容的にきわめて細かい、非常に面倒くさいものとなりました。
行政試験での出題内容も、微に入り細に入りといった感じで、行政書士試験オンリーで勉強している人には難しすぎるものとなっています。
司法書士の勉強をしていないと分かるわけがない問題だったり、司法試験過去問のマニアックな問題の焼き直しだったり、などの悪問が多すぎます。
商法自体は実務で使うものですから、これの勉強をしないほうが良い、というのはおかしな話なのですが、試験合格という面では、捨てたほうが良い科目です。
……まあ、法律系資格試験では、受験予備校が小賢しいことを言っては試験運営側が腹を立てる、いやがらせとも思えるような出題をしてくる、というのがよくある流れで、そういう意味では「捨て科目」などと小賢しいことは言うべきではないのかとも思うのですが、しかし実際、出題内容が悪すぎます。
個人的な意見ですが、商法に関しては難易度をぐっと下げて、また配点も多くして、制度的に受験生のモチベーションを上げるようにしないとダメだと思います。
また、基礎法学(8点)も、必ずしも点が取れるとは限らないです。
年度によりますが、非常に難しいときがあります。
合格への道筋
これらを踏まえた上でどうすべきか?
まず、憲法五肢択一(20点)・行政法(92点)は、確実に点が取れます(計112点)。
一般知識(56点)は微妙ですが、8割を目標にしたいところです。
憲法五肢択一・行政法・一般知識、合計168点ですが、140点は取りたいところです。
一般知識の難易度が年度によって違いますが、難しい年に当たっても、なんとかこのあたりまで食い下がりたい。
この3科目は、4ヶ月も勉強すれば十分に点が取れます。
具体的には各科目の勉強方法のページをごらんください。
問題は、あと40点なんです。
これをどうするか?
残りの教科、商法(20点)、基礎法学(8点)は大きく期待はできないです。
そうすると、民法(36点)、憲法多肢択一(8点)、これに加えて記述式(60点)。
これらのうちから40点をひねり出さなければならない。
結局はそういうことなんです。
はっきりいえば、140点までは誰でも到達できます。
残りの40点。ここをどう作るか。
やり方としては、
憲法多肢択一を確実に取りに行って、民法で24点取る。
あるいは、
民法で32点ぐらいまで取る。
ここのミッションをクリアできるかどうか。
合格率が5%くらいしかない、というのはここが最大の難関になるからです。
ここさえクリアできれば、あとは記述式で10点も取れば合格です。
難しそうに聞こえるかも知れません。
しかし、難関がどこにあるのか、もう分かっているわけです。
そこさえクリアできればいいだけの話です。
しっかり勉強さえすれば、合格するのはそれほど難しくはありません。